ここ数日、嗅覚がない、全くないというわけではないんだけど、コーヒーの匂いですらわからない。味覚については、嗅覚の影響を受ける部分があるから、それまでのような味わいにはならないけど、今のところ味覚そのものには影響はないと思っている。
嗅覚がない状態で食事をするというのは、何とも平面的で立体的な味わいを感じない、眼の前にある食事は当然食材ごとの色があるんだけど、わかりやすく言えば白黒写真に映し出された料理を食べてるみたいな感じになる。食事がぜんぜん楽しくない。
嗅細胞とその周辺の組織に何かしら問題が発生して機能していないのか、あるいは嗅細胞から脳へ送信される電気信号にエラーが発生しているのか、細かいところはわからない。
しかし、現在のところ別の匂いに置き換えられているというようなことはなく、単純に匂いがしないということ。遠くに匂いを感じる、少しばかり匂いを感じることは出来ていて、例えば、
糠床を混ぜてみて、少し遠くの方で匂いがする。
発酵中の自家製醬油は、糠床よりも近いところで匂いがしたが、強くは感じられない。
ヒノキのかんなくずを入れいているビニールの大袋のなかに顔を突っ込んで、匂いを嗅いでみても、その匂い全体のほんの一部分しか、認知することができない。
嗅細胞は1ヶ月程度で新しいものに更新されるようなので、来月の半ばごろには元通りに治っている可能性はある。
嗅覚異常は若い世代のほうが発生しやすいという。20代、30代のほうが発生比率が高いらしい。この違いは何なのか。60代、70代と比較したときには、前者はデジタル世代であり、後者はアナログ世代である。VRゴーグルをつけて、仮想空間にある行列のできるラーメン屋に行く。事前にプレーンの麺と白湯を丼に入れておき、仮想空間でラーメンが出されるタイミングでそれを食べ始める。麺にもスープにも味はない。しかし、あら不思議、めちゃくちゃ美味いのである。つまり、WEB3、メタバースの世界では、味覚のレシピ、嗅覚のレシピが次々に開発され、それが知的財産、デジタルコンテンツとなり、ユーザーの五感に作用する、と考えていた。コロナ発生当初から味覚嗅覚異常を訴える人がいたので、「そうそう、それそれ」なんて、思っていたのだが、いざ、自分がそうなってしまって思うことは、人間の持つ嗅覚、味覚の再現、再生というのは、実際のところはもっと複雑なのかもしれない。
そんなこんなで、しばらくの間、私の意識は嗅覚に集中することになる。あ〜困った。